スリーパーダってどんな山?
スリランカの中央高地、宝石の街として有名なラトゥナプラの北東にスリーパーダ(英語でアダムスピーク)があります。標高は2238m。山頂付近の岩には大きな足跡が残されていて、仏教徒はブッダのものと、ヒンドゥー教徒はシバ神のものと、イスラム教徒はアダムのもの、キリスト教徒は聖トーマスのものだと信じるようになり、4大宗教にとって共通の聖地となったそうです。ヌワラエリヤ方面からもスリーパーダが見えました。とんがり帽子のようにぴょこんと飛び出ている山がスリーパーダ。富士山が日本の色んな場所から見えるように、スリランカでも晴れていれば遠くからスリーパーダが見えるそう。
上空からの眺めはこちら。「Welcome To SriLanka Neture」というホームページからお借りしました。
12月のポヤデー(満月の日)から5月のポヤデーまでがスリーパーダ登山のシーズンで、山頂から神々しいご来光を見ようとスリランカ全土から人々が集まります。
スリーパーダへのアクセス
スリーパーダへ登るには2つのルートがあります。赤い▲印がスリーパーダ。北東側にあるふもとの村「ナラタニヤ」側から登るか、南側にある宝石の街「ラトゥナプラ」側から登るかのどちらかだそう。
現地のドライバーさんに聞いたところ、ラトゥナプラ側からのほうが時間がかかるし大変とのこと。どうやらナラタニヤ側からのルートが一般的なようです。
コロンボからナラタニヤに行くにはローカルバスを乗り換える必要があります。
コロンボからハットン、ハットンからナラタニヤ、というルートです。
友人に聞いたところによると、キャンディから「Pick Me」というUberのような配車サービスを使ってナラタニヤに車で移動して5000ルピーくらいだったそう。キャンディから車で移動するという方法も使えそうですね。
深夜に登山を開始していざ山頂へ
私がスリーパーダ登山をしたのは、そもそも季節外れな9月。スリランカ人の知り合いに相談すると「そんな時期に登る人なんていないよ!山の上のお寺も開いてないし、登山道のお店も閉まってるから暗くて危ないんじゃない!?」と大反対されました。が、思い立ったが吉日。行けるときに登っとかないと次にいつスリランカに行けるか分かりません。ナラタニヤのゲストハウスを出発したのが午前2時。かなり寒いです。長袖ティーシャツにパーカーにウィンドブレーカーに厚手のソックスといういで立ち。外灯はなく辺りは真っ暗なので一応懐中電灯も用意しました。
唯一営業していた麓のお店。シーズンは、登山道の両サイドにお店が立ち並び、温かい紅茶や食べ物を提供しているそう。私が登った9月は閑散としていて、欧米系の外国人登山者ばかりです。みなさん足が長いので、すごいスピードでずんずん登っていきます。
スリーパーダに入山料はありませんが、登山道の入り口あたりでドネーション(寄付)を求められました。ノートに名前と国、寄付金額を記入します。大体ひとり1000~2000ルピーくらい?
さぁ、いよいよ。スリランカ人の友人いわく、山頂までは3時間ほどの道のりとのこと。日の出までにたどり着けるでしょうか。
山を甘く見ていた私にしっぺ返し
歩き始めて1時間半ほど。細い川のふもとにある「Seetha Gangula Saman Devalaya」というお寺のあたりでパラパラと雨が降り始めました。↑
ここ(この写真は帰りに撮影したもの)。
どうしよう…。
雨に降られることを全く想定してなかったので、かなり動揺。20分ほど雨宿りしたものの、やむ気配はなし。この時点では、山のどのあたりまで来ているのか分からなかったため、あと少しで着くんじゃないかという淡い期待もあり強行突破で前へ進むことにしました。
階段はどんどん険しくなるし、雨風はどんどん強くなるし、気温はどんどん下がってくる…。途中でバケツをひっくり返したような天候になり、靴の中もズボンもびっちゃびちゃ。視界も悪く右も左もわかりません。もちろん写真なんて撮る余裕は一切なし。
太ももに乳酸がたまりすぎて、ついには一歩も足が前に出なくなった…。うう、こんなはずじゃなかったのに!小さな子どもでも登る山だから、もっと楽勝で頂上まで登れると思ってのに!10段登っては5分休んで、20段進んだらまた休んで…を繰り返しながら何とか前に進みます。
気付けば時間は午前6時すぎ。もはやご来光どころじゃない…。進むも地獄、退くも地獄。下山してくるヨーロッパ人に「あと少しだよー!」と励まされますが、声を出すことすらできない…。
はたして頂上からの景色は
そんなこんなでついに…、ついに山頂へ!はい、まっしろー。
思ってたスリーパーダと随分違うなぁ。「ぅわぁぁぁぁぁ、絶景!」みたいなのを想像してたんだけど、雨降ってるし霞んでるし視界ゼロです。
こちらがブッダの足跡が残されている寺院。オフシーズンは鍵がかかっていて入れません。
山頂にはお寺の守り番のような人がいて、紅茶を入れてくれました。いままで飲んだどの紅茶よりも美味しく感じられました。これを飲むために頑張って登ったのかもしれない。
山を下りるのも地獄
さぁ、あとは下山するのみなんですが、帰りもかなりの地獄です。おしりも太腿もふくらはぎもパンパンになっているので、階段を一段おりるたびに激痛が。生まれたての小鹿のように足ががくがく震えているので、急な階段を踏み外しそうになります。おまけにトイレに行きたくなってきて踏んだり蹴ったりです。
麓に近づくにつれて、太陽の光が出てきました。
後日落ち着いてから、スリーパーダに登ったことのある日本人の色んなブログを読んでみましたが、みんなけっこう軽々と登ってるように見えるんですよね。私の体力が無さすぎるのか、天気運が悪すぎたのか。
スリーパーダは信仰を集める聖なる山。せっかく登るなら敬虔な気持ちを持って、山頂のお寺が開いている正しい時期に登ることをおすすめします。
ご来光、見たかったな。
コメント